52人の外国人支援コーディネーターが誕生!
とは、入管庁から配信されたニュース。 一体、この「外国人支援コーディネーター」とはいかなるものなのか? 簡単に解説してみました。
1 入管庁発表のプレス記事内容
(入管庁のリンクから引用) 生活上の困りごとを抱える外国人を適切な支援につなげることができる人材「外国人支援コーディネーター」を養成する研修を行っており、初回となる令和6年度の研修では、52名が外国人支援コーディネーターとして認証されました。本研修においては、オンライン講座(約2か月間)と職場での実践(約3か月間)を経て、2月22日(土)と23日(日)に、国立オリンピック記念青少年総合センターで集合研修を実施し、グループ討議や事例検討を通じて、支援の視点を深めるとともに、受講生同士のつながりも広げていただきました。今後、認証された52名は、半年間の研修で学んだことを活かし、それぞれの地域社会で外国人支援に貢献していくことが期待されます。(引用おわり)
2 外国人支援コーディネーター設置の背景
法務省入管庁では、これまで有識者会議からの提言その他技能実習制度或いは特定技能の制度上の問題点を踏まえ、我が国での「外国人支援コーディネーター」の設置を模索。 ▲ 他国(台湾、韓国、ドイツ、オランダなど)の実態調査 ▲ 地方自治体などからの聞き取りなどを行い、実施に踏み切ったもの。
3 外国人支援コーディネーターの人材像
(入管庁HPから引用)日本の法令や制度等及び外国人が受けることができる様々な支援サービスに関する専門的知識並びに相談支援に関する技術をもって、次の①及び②に掲げる業務を行うことができる人材をいう。① 複雑・複合的な生活上の困りごとを抱えた外国人相談者と信頼関係を構築し、当該相談者からの相談に応じ、問題状況の見極め、適切な支援プランの作成、状況に即した助言、連携先との連絡及び調整等の支援を行い、外国人相談者の了解を得ながら、解決まで導く。なお、他に相談対応者が配置されている場合は、それら他の相談対応者が担当する複雑・複合的な案件の対応に関して必要な助言及び指導を行う。② 生活上の困りごとの発生を未然に防ぐとともに、困りごとが発生した場合に外国人が相談先へ円滑に到達できるよう、生活オリエンテーション等において、自身の参加又はそれらの実施者に対する事前の助言・指導により、あらかじめ日本の制度等の概要や出身国の制度等との違いを教示するとともに、困りごとが発生した場合の相談先等の周知・提供を行う。(引用おわり)
4 外国人支援コーディネーターに求められるスキル及び配置先
① 外国人の在留状況を正確に把握する能力 ② 異なる文化や価値観を理解する能力 ③ 外国人の複雑・複合的な相談内容に対して適切な解決まで導く能力 ④ 外国人を適切な支援へ円滑につなげる能力
(入管庁HPから引用)上記スキルを充足するため外国人支援コーディネーター養成のためのカリキュラム、シラバスには労働関係法令の知識のみならず入管関係法令の知識も包含されている。今回外国人支援コーディネーターとしての認定された52人は順次全国の地方公共団体、学校、企業などに配置されるものとみられる。
5 当該制度に対する筆者考察
令和4年ころから有識者会議にて提言されていた外国人支援コーディネーターの設置を具現化した今回の施策ではあるが、現存する各種専門家(社労士、行政書士、弁護士、中小企業診断士など)との業際が競合する部分が大であること、外国人支援コーディネーターは他国との横並びで「国家資格」として付与しないことが決まっていることから 1 実効性について若干の疑義 2 現存する士業などとの業際調整などの問題点が想定される。ややもすればその存在意義が薄れてしまうことも懸念されることから今後の入管庁或いは地方公共団体等受け入れる側のさらなる努力と調整が注目される。
(執筆者:理事長 山下裕) ※一部引用あり
2025年3月31日 6:53 PM カテゴリー: ニュース